『あなたを悩ます話してもわからない人』というタイトルの本を読みました。
私自身が話してもわからない人なのですが、どんな内容が書かれているのか気になり手に取りました。
読んでいくうちにあれよあれよと私のことばかり書かれているではないかと思いました。
それはさておき、私のような話の通じない相手に苦労されている方もたくさんいらっしゃると思います。「なぜ理解してくれないのか」「なぜとんちんかんな答えを返すのか」等々。
心の優しい皆さんが悩まれないよう、職場での事例と共に、対応の仕方をご紹介します。
対応の基本
「話してもわからない人」への対応のポイントは2点あります。
①個人的なギアから組織的なギアへ
相手に対して個人の価値観や立場で判断するのをやめ、
組織の一人として、組織の発展につながるかどうかで判断する。
②「観察→分析・理解→反応・対応」のプロセスを踏む
対話に困ったとき、その理由を個人の性格のせいにするのではなく、
「観察→分析・理解→反応・対応」と、ステップを踏むことによって冷静に、組織の発展につながる解決方法を見出すことができる。
柴田豊幸/柴田洋平『あなたを悩ます話してもわからない人』(2016)株式会社幻冬舎 P16-19
下記では、事例をいくつか上げ、対応の仕方を考えていきます。
本人を変えようとする教育は有効か
エピソード①
観察
Aさんと上司は取引先へ向かいます。取引先との打ち合わせの場で、本題に入る前に、取引先の女性が「最近太ってしまって、、」と言ったとします。女性は当然相手から否定の言葉が返ってくるものだと思っていますが、Aさんは「太りましたね」と返してしまいます。
分析・理解
Aさんに悪気はなく、相手が否定を期待していることを分かっていませんでした。
このように悪気なく人を怒らせてしまうことが何度もある場合は、他人の感情を理解したり、想像することにあまり向いていないタイプであると考えられます。
反応・対応
打ち合わせの場ではなんとなく流すのではなく、その場で上司は女性に対して謝るのと同時に、部下に対しては「そんなことを言うものではない」と叱ります。
その後も同じようなことを繰り返し業務に支障が出るのであれば、取引先と接する機会のない業務へ移動させたり配置転換を行うことが組織としての対応となります。
(そういったタイプの人に対して、丁寧に指導を繰り返しても直らないことが考えられます。成長を期待して指導しても指導する側が病んでしまうと思います)
柴田豊幸/柴田洋平『あなたを悩ます話してもわからない人』(2016)株式会社幻冬舎 P26-29
個人的な感覚を持ち込んでいないか
エピソード②
観察
取引先の相手におそらく話すことがあまり得意ではない人がいます。会えば必ず天気の話をし、それもいつも一本調子で違和感があります。こちらから別の話題を提供しても「そうですね」のひと言で終わり会話が続きません。
分析・理解
相手に不自然さや違和感を与えており、話すのが苦手と考えれる。
反応・対応
会話がスムーズにいかない相手とは、自分と違ったタイプの人もいることを念頭に、支障のない限り聞き流し、すぐに業務の話に移りましょう。
(違和感はあくまで個人的なものであり、「話しやすい人とのほうが仕事がしやすい」ことにポイントを置きすぎないことです)
柴田豊幸/柴田洋平『あなたを悩ます話してもわからない人』(2016)株式会社幻冬舎 P38-41
「できない人」という「評価」をしていないか
エピソード③
観察
会議の場で、話の進展についてこられない同僚がいます。会議が10の段階まで進んだところで、かなり前の段階に話を引き戻してしまう人がいます。誰かがなんとなく話を合わすものの、「またか」というような空気になってしまいます。
分析・理解
普段から「天然な人」「気分屋さん」と言われれおり、本人に悪気はない。会議の進行を遅らせているという自覚はない→周りの気持ちが通じていない。
反応・対応
「またか」と個人の行動に過剰反応してしまっていると考えられます。個人の行動ではなく、会議の進行を重要視すれば、「その話は済みましたよ」と言えるでしょう。
(脳の使い方は一人ひとり違い、自分が気になったことから考えが開放されない人もいます。そう理解しておくと対応の仕方が変わってくると思います)
柴田豊幸/柴田洋平『あなたを悩ます話してもわからない人』(2016)株式会社幻冬舎 P50-53
まとめ
いくつか事例をご紹介しましたが、同じような経験がある方もいるのではないでしょうか。
今回は特に触れてきませんでしたが、「話してもわからない人」の背景には発達障害や精神疾患がある可能性もあります。(全てがそうとは限りません)
そういった場合は脳の特性の問題であり、本人の努力ではどうしようもないことも考えられます。優しさからその人を直そうと個人で対応してしまうと、対応する側が病んでしまうかもしれません。
個人間の感情で対応するのではなく、難しいかもしれませんが「組織」の目線で冷静な判断をすることが重要です。
今回の参考著書↓
メンタルヘルス←メンタルヘルスについての記事はこちらからお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。