私は現在休職中ですが、仕事をしていた時、毎日のように叱られていました。(叱られるというよりは怒られる)
うつ病になった原因を一つに特定することは難しいですが、原因の一つとして叱責が積み重なったことによる自己肯定感の低下が考えられます。(もちろん上司が全て悪いわけではありません)
叱る方法を間違えると、叱る方も叱られる方も、メンタル不調に陥ることが考えられます。
ただ、叱り方を学ぶ機会はあまりないと思います。今回は私が本を読んだ中から、重要なポイント3つをエピソードを交えながらご紹介します。
部下を持つ方も、そうでない方にも今後の参考として見ていただけたら嬉しいです。
主観は抑えて客観的事実だけを叱る
エピソード①
入社4年目の鈴木君に上司は困っています。毎週開かれる部内の会議に2回連続で遅刻しています。そんな鈴木君に対して上司は、「時間にルーズでだらしがない」「やる気がない」「仕事をなめている」と感じています。
上司、鈴木君目線それぞれの客観的事実と上司目線の主観的事実は下記のとおりです。
客観的事実(上司目線)
鈴木君はその会議に2回続けて遅れてきた
主観的事実(上司の解釈・評価)とそこから生まれる感情
時間にルーズでだらしがない、やる気がない、仕事をなめている
→「鈴木は私をバカにしているのか」「私主催の会議に遅れてくるなんて他のチームの人に示しがつかないじゃないか」
客観的事実(鈴木君目線)
【1回目の遅刻】余裕を持って行動していたが、電車が大幅に遅延していた
【2回目の遅刻】会議に行く準備をしていた際に、大事なお客様から急ぎの電話があり、対応に追われていた
鈴木君目線の客観的事実から見てみると、決して鈴木くんは時間にルーズなわけでも、やる気がないわけでもないことが分かります。
→もし主観的事実から鈴木君を叱れば、鈴木君は反発心がわくことになります。
ポイント①
叱る対象は客観的事実に絞る
田辺晃(2019)『嫌われずに人を動かす すごい叱り方』株式会社光文社 P44-46
内面的なことは絶対に叱らない
エピソード②
山田さんは、少し慌て者のようで、単純なミスが多いです。アドレスを間違えて別の会社にメールを送ってしまったり、FAX番号を間違えて送ってしまったりということが後を絶ちません。取引先からは頼んだFAXが届かないと連絡がありました。
人には内面と外面がある
内面とは人の心の内側のことで、自己認識、人格、考え方、「大切にしていること」つまり価値観、「物事はこうあるべきだ」と思っている信念などを指します。ということは、上司から、「お前のものの考え方はおかしいから、そこを変えろ」と言われたりするのは、内面への攻撃に他ならないのです。人間は自分の内側に攻撃を受けると、自己を保つためにバリアを張ってしまいます。聞く耳を持たず、何を言われてもはねつけてしまうのです。
叱ってよいのは行動や、やったことの結果、態度といった外面だけです。
田辺晃(2019)『嫌われずに人を動かす すごい叱り方』株式会社光文社 P60
上記のことを踏まえると、叱るべきことはメールの誤送付やFAX番号の入力間違いであって、
「お前はいつも慌て者だな。だからミスばかりするんだよ!」と言ったりすることは、山田さんにバリアを張らせてしまうことになります。
やってしまった行動に対して解決策を考えさせることが上司の正しい対応の仕方と考えられます。
ポイント②
叱る(指摘する)のは外面
叱り方には型がある
叱られる時は、どちらかというと一方的なイメージがあります。
しかし、叱り方にはある程度決まった「型」があり、この型に当てはめていくと、「叱る」というよりは、「話し合う」「対話する」といった形になります。
下記では、その型と具体例を紹介します。
叱り方の型
①準備と場づくり「いつもありがとう」
②客観的事実を提示する「こんなことがあったよね」
③要求・要望を伝える「私はこう思うよ」
④相手の考えを聞く「あなたはどう思う?」
⑤解決策を考えさせる「これからはどうしよう?」
⑥支援する「私にできることはある?」
⑦お礼と励まし「今日はありがとう。頑張って」
田辺晃(2019)『嫌われずに人を動かす すごい叱り方』株式会社光文社 P82.83
上記の型に当てはめて、エピソード②を例として考えていきます。
①準備と場づくり
「山田さん、少し話せるかな。いつもテキパキ仕事をこなしてくれてありがとうね。」
②客観的事実を提示する
「この間、〇〇会社から頼んだFAXが届かないと連絡があったよ。」
③要求・要望を伝える
「このことが、会社にどんな影響を与えるか分かる?〇〇会社の人たちは、そのFAXが届くまで仕事ができなかったし、うちに電話をかけたりして手間をかけさせてしまったよ。ポイントごとにしっかり確認しないと、こういうことになるね。テキパキ仕事を進めてくれる山田さんだからこそ、そこも万全を期してもらいたいな。今回は私も少しがっがりしたよ。」
④相手の考えを聞く
上司「今回のこと、山田さんはどう思う?」
山田さん「単純なミスをして、恥ずかしいです。他にもミスが多くて、自分が情けないです。」
上司「あなたが十分反省していることは分かったよ。辛いよね。」
⑤解決策を考えさせる
上司「今後気をつけてくれると思うけど、気合だけでは確実じゃないからね。対策はどうしよう?」
山田さん「FAXを送る前に、FAX番号を大きな字でメモして、それと突き合わせするようにします。今は、FAX番号一覧の小さな文字を見ながら送っているので、間違いやすいのだと思います。」
⑥支援する
「私に何かできることがあるかな?大丈夫そう?」
⑦お礼と励まし
「じゃ、頼むね。頑張ってね。」
上記のように型に当てはめていくと、部下は冷静に話せ、自分で対策まで考える事ができます。
ポイント③
「叱る」のではなく「対話する」
田辺晃(2019)『嫌われずに人を動かす すごい叱り方』株式会社光文社 P172-177
まとめ
叱ることは、一方的なものではなく、あくまで「対話」です。
感情のままに、部下を叱責すると、部下は萎縮してしまいます。そのようなことが繰り返されると、部下は萎縮したまま仕事をすることになり、集中力の低下やモチベーションの低下に繋がってしまいます。
また、叱る側の人や物事に対する捉え方や考え方は、さまざまな場面で応用できると思います。
人や物事に対しての捉え方や考え方が変われば、人間関係、さらには人生も変わってくるかもしれません。皆さまの人生がより豊かなものになることを願っています。
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