今回はASDの特徴の一つである「疲れやすさ」についてと、その改善例についてご紹介します。(特徴例の一つであり、個人差があることをご了承ください)
いつも緊張している
ASDの人は、パターン的に体を動かしており、使っていない筋肉がかなりあるそうです。
さらにリラックスをすることも苦手で、仕事を始めると、始めから終わりまでずっと体に力が入っています。
例えば、「休憩しなさい」と言われると通常呼吸は深く、ゆっくりになるものですが、ASDの人は、呼吸数が変わらないそうです。(個人差があります)
小児科医の宮尾益知先生は、このことから発想を展開させ、発達障害の人にヨガのトレーニングを取り入れました。(ヨガのポーズで深く呼吸をする練習を繰り返すことが効果的)
確実に効果が出ているそうです。
宮尾益知(2019)『発達障害の人が働くときに知っておきたい10の基本 男性も女性も、新入社員もベテラン社員も仕事が辛いと思ったら自分を点検してみる』河出書房新社 P19-22
株式会社ドコモ・プラスハーティ(NTTドコモの特例子会社)では、身体機能改善指導としてオリジナル体操やヨガを取り入れています。
このような取り組みがもっと広がっていくといいですね。
私は過集中をしてしまうことが多いので、意識的に休憩をとるようにしていますが、呼吸については意識したことがありませんでした。呼吸にも注意してみようと思います。
疲れやすい特性
上記で述べたように、ASDの人は休憩がうまくとれず、疲れやすいです。
宮尾先生のクリニックに訪れたASDの人で、自力で歩けなくなったり、診察室の前で倒れてしまった人が2.3人いたそうです。血圧や心電図、血液検査などをしても問題なく身体的にはきわめて健康でした。
このように身体的には健康でも突然倒れてしまうことがあります。
発達障害の特性がある人はとにかく疲れやすい。そのことを理解して、人一倍休息をしっかりとって体を休める必要があります。
宮尾益知(2019)『発達障害の人が働くときに知っておきたい10の基本 男性も女性も、新入社員もベテラン社員も仕事が辛いと思ったら自分を点検してみる』河出書房新社 P34-37
改善例
以前宮尾先生のクリニックの診察前で倒れてしまったASDの女性のその後について改善例があります。
彼女は、「午後3時を過ぎるとものすごく疲れる」ということで、会社に理解してもらい、勤務を週4日、午前9時から午後3時にしたところ、元気に働き続けているそうです。疲労がなくなり、これまで以上に仕事が早くなったそうです。
宮尾益知(2019)『発達障害の人が働くときに知っておきたい10の基本 男性も女性も、新入社員もベテラン社員も仕事が辛いと思ったら自分を点検してみる』河出書房新社 P36.37
働き方を皆で揃えるのではなく、個々にあった働き方を取り入れることで生産性の上がった良い例だと思います。
まとめ(参考著書)
今回はASDの人が疲れやすいということと、その特性を理解し改善した例をご紹介しました。
発達障害に限らず人それぞれ特性があります。その特性に合わせた働き方ができる社会になれば、効率よく回っていくのではと思います。
最近は発達障害の特性を活かそうとする会社も出てきているそうです。そのような取り組みが広がっていけばと思います。
著者が現場のマネージャーとの対話を元にまとめられた本です。発達障害当事者だけではなく、会社で働く様々な人に読んでいただきたい一冊です。