何かしらのトラウマを持っている人は多いと思います。
トラウマってそもそも何なのか、なぜトラウマ起こるのか、トラウマからの回復等々。
今日はそんなトラウマについての話をします。
トラウマとは
トラウマって?
トラウマになりそうなものといったら、何があるでしょうか。
例えば、虐待、自然災害、交通事故、等々。
臨床心理士トラウマセラピー専門家の藤原ちえこさんは下記のようにトラウマを定義しています。
(慢性、急性の)ストレスに対する人間の身体の自然な反応が、解消されずに心身にとどまっている状態
藤原ちえこ(2020)『本気でトラウマを解消したいあなたへ』株式会社 日貿出版社 P22
時間で解決できない
もう過去のことなのに、ずっと心の中に留まり、思い出したくなんかないのに、思い出してしまい、その度に気分が重くなることがあります。
理由は簡単です。
トラウマは時間が解決しないからです。
トラウマが起こるしくみ
危険な状況を想定し、トラウマが起こるしくみを考えます。
歩道を歩いていたら、正面から包丁を持った人が走って向かってきたとします。
その時、考えられる行動は3つあります。
①逃げる
②戦う
③凍りつく
①逃げる、②戦うについてはそのままですが、③凍りつくについて補足します。
危機が迫っている時に最も使われるのが「凍りつき」反応だと言われています。逃げることも戦うこともできないとなったら、もうそうなるしかないですよね。
この「固まってその場をやり過ごす」ことが、一番痛みや衝撃を感じずにすむため、生物学的には危機を切り抜くために非常に有効だとされています。
藤原ちえこ(2020)『本気でトラウマを解消したいあなたへ』株式会社 日貿出版社 P27-31
この「凍りつき」が起きている時、体内では下記のようなことが起きています。
交感神経が最大限に活性化し、スーパーマンのようなエネルギー(火事場の馬鹿力)を生み出してるにもかかわらず、副交感神経がシャットダウンして、表面上は動けません。つまり、車のアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。
最大限に生み出されたエネルギーは、行き場をなくして身体内をうろうろしています。この、行き場をなくした高い活性化のエネルギーこそが、悪夢、フラッシュバック、パニックといった、トラウマ症状を作り出している材料なのです。
藤原ちえこ(2020)『本気でトラウマを解消したいあなたへ』株式会社 日貿出版社 P31
「凍りつき」反応の中で起こる「行き場をなくした高い活性化のエネルギー」は、本来開放されるべきものです。しかし、私たちはそれを理性で抑え込んでしまっています。
例えば、震え、しびれ、涙、等々。涙等によってエネルギーが解放されれば、トラウマとならずにすむかもしれないのに、理性で抑え込み、トラウマを作り出しています。
(このエネルギーを開放しない限りトラウマは解消しないため、トラウマは時間が解決しないとしています)
身体が出しているサインは、エネルギーを開放し、トラウマを生み出さないようにするためのものだと理解しておくと、変にそのサインを嫌がったりしないで、少し余裕が持てるようになるかもしれません。
藤原ちえこ(2020)『本気でトラウマを解消したいあなたへ』株式会社 日貿出版社 P52-59
トラウマからの回復
トラウマより回復するために必要不可欠なものを3つご紹介します。
自助グループは当事者の集まりで、当事者同士で考え、問題解決等に取り組みます。
同じ経験をした人の集まりであるため、「同じ思いをしたのは自分だけではないんだ」と思えたり、自分の話を聞いてもらえることは、大きな癒やしとなります。
②身体の専門家
これまでの辛い経験やトラウマによって、身体まで硬直していることが考えられます。
まずは、身体からほぐしていきましょう。
例:クラニオセイクラル、ロルフィング、フェルデンクライス、野口整体、鍼灸、等々
③心の専門家
心理セラピストはたくさんいますが、その中でもトラウマには、身体心理学を専門とする心理士が良いとされています。
藤原ちえこ(2020)『本気でトラウマを解消したいあなたへ』株式会社 日貿出版社 P162-166
逃げることについて
特に日本では、「逃げること」についてマイナスなイメージがついてしまっているように思います。
「逃げたら恥」という言葉があったり、「辛い状況でも歯を食いしばって頑張るのがいい」といった風潮があります。
冒頭で例として上げた「包丁を持った人が向かってくるような状況」は極端な例ですが、それ以外の状況でも「逃げること」ができたら、「助けを求めること」ができます。
助けを求めるのは、弱さではなく、強さの表れなのです。
藤原ちえこ(2020)『本気でトラウマを解消したいあなたへ』株式会社 日貿出版社 P161
逃げることは決して恥ではないし、自分の身を守るための最善の行動だと思います。
逃げることは簡単ではないから、逃げることができたら、自分自身を褒めたっていいと思います。
まとめ
もしかしたら、トラウマと一生付き合っていかなければならない、と思っている人がいるかもしれません。トラウマはそんな簡単に消えるものではないし、その人にしか分からないものでもあります。
もし周りにそんな人がいたら、「そんな昔のこと早く忘れなよ」と言わず、寄り添ってほしいと思います。助けてくれる人がいることを伝えてほしいと思います。
『トラウマからの回復』でお伝えした必要不可欠な3つがきっとその人にとって役立つものになると思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
参考著書
トラウマについてはこちら