特にうつ病に関しては、いつ、誰がなってもおかしくない病気です。
それらを「治す」ということについては様々な意見があると思います。
うつ病の私個人としては、うつ病は治すというより、うまく付き合っていくものだと思っていたのですが、
具体的な治療実績の出ているものがあったので、治療法と共にご紹介します。
MRI画像から診断できる?
東北大学の名誉教授、松澤大樹氏が確立した松澤式治療法をご紹介します。
まずは治療実績からご覧ください。
治療実績
認知症 約50%
診断方法
うつ病、統合失調症、認知症のそれぞれの診断結果は下記のとおりです。
扁桃体の上部の海馬に近い位置に組織の崩壊(傷)が左右対称にみられた。
うつ病と同じ位置に組織の崩壊(傷)がみられるが、その向きはうつ病とは逆である。
海馬及び扁桃体の連なりが極端に細くなり、側脳室後下角が異常に拡大している。特に海馬の極端な萎縮が認知症の特徴である。
文字だと分かりづらいですが、MRI画像からははっきりとその様子がわかりました。
扁桃体や海馬において崩壊した組織(傷)がなくなり、痕跡だけが見える状態になると治癒と判断されます。
稲場秀明『脳科学のはなし (科学の眼で見る日常の疑問)』技報堂出版 (2020/11/6) P192.193
治療方法
松澤氏は、下記3つを基本的な治療方針としています。
①セロトニンを増やす
②ドーパミンを減らす
③神経幹細胞の増殖と分化を促進するのを挙げる
(運動によって、扁桃体や海馬において崩壊した部位に神経細胞のコロニーが生成していることが、MRI像などから確認されています)
健康には、セロトニンと総ドーパミンとのバランスが必要であるが、セロトニンが不足すると病気になりやすい。ストレスに対してノルアドレナリンが分泌されるが、それが継続すると脳の海馬が萎縮し、セロトニンの分泌が少なくなる。
稲場秀明『脳科学のはなし (科学の眼で見る日常の疑問)』技報堂出版 (2020/11/6) P193
薬剤療法
うつ病と統合失調症は別の病気とされていますが、前澤氏は両者を併発する1つの病気として捉え、混合型精神病としています。
(実際、うつ病と診断された患者には統合失調症の崩壊像があり、統合失調症と診断された患者にうつ病の崩壊像が見られることが多い)
抗うつ剤と抗精神病薬の両方の薬を同時に処方し、かつ必要最低限とした。心の脳を休める薬は夜に、脳の機能を活性化する薬は昼に使用した。
稲場秀明『脳科学のはなし (科学の眼で見る日常の疑問)』技報堂出版 (2020/11/6) P193
食事療法
セロトニンを増やすには、その材料となるアミノ酸のトリプトファンを豊富に含む食品を取る必要があります。
例:カツオ、マグロ、ハマチなどの赤身の魚
豚、牛、鶏などの肉、大豆類
また、ビタミンB6もトリプトファンからセロトニンを作る時に媒体の役割をするため、必要です。
例:バナナ
運動療法
運動はセロトニンを作るために非常に重要です。特に太陽光がある朝に運動すると、セロトニンができやすいといわれています。
例:ジョギング、ウォーキングなどの有酸素運動、水泳
ストレスフリー超大全やアウトプット大全で有名な樺沢紫苑先生も朝散歩を推奨されています。
また、運動は下垂体からの成長ホルモンや脳由来神経栄養因子の分泌を促し、神経幹細胞の増殖と分化を促進させます。
稲場秀明『脳科学のはなし (科学の眼で見る日常の疑問)』技報堂出版 (2020/11/6) P194
まとめ
今回は、MRI画像を用いた診断方法をご紹介しました。『心の病は脳の傷』とし、治ったことが画像から分かる点は、大変わかりやすいものなのではないでしょうか。
松澤式の治療方法では、うつ病と統合失調症について治る割合が80~90%とされており、非常に高いです。
朝散歩については、私自身取り組んでいますが、非常に効果の高いものなのではないかと実感しています。適度な運動と健康的な食事を心がけていきたいと思います。
今回の著書(脳科学に関することがほぼ網羅されています)