前回、脳の働き方から時間管理方法についてご紹介しました。
今回は、生活習慣の視点から時間管理能力を向上させる方法をご紹介します。
スヌーズを使うほど起きられなくなる?
目覚まし時計のスヌーズ機能を使っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、スヌーズ機能を使うほど目覚めが悪くなるということが実験で分かっています。
菅原洋平(2020)『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』CCCメディアハウス P107
脳は、起床する3時間前から起床準備を始めています。
なぜ?
寝ている時は、頭は地面に対して水平になりますが、起き上がることで垂直になります。
重力によって体内の水分(血液含む)は足元に下がります。でも脳にも血液は必要なので、重力に逆らって血液を脳に吸い上げなければなりません。これがとても大変なので、起床の3時間前から準備をしています。
血液を上げるコルチゾールが、普段の起床の3時間前から分泌され始めて、起床1時間前になる地球激に増加し、起きられる脳をつくります。
コルチゾールは、時間に依存するホルモンです。起床時間が常に同じであれば、同じタイミングから準備が始まり、タイミングよくゴールに到達することができます。これは、ゴールの時間が明確になっているから可能な動きで、スヌーズ機能でゴールがずらされるとタイミングが合わなくなってしまいます。
菅原洋平(2020)『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』CCCメディアハウス P108
脳からしたら、起きるのか寝るのかどっちなんだ、という感じです。
血圧は上昇と低下を繰り返し、「もう起きないと!」というタイミングで急激に脳に血流が集まり頭が痛くなったりします。
スヌーズを使わずに起きるには、「自己覚醒法」がいいでしょう。
自己覚醒法とは
就寝する時に「7時に起きる」というように頭の中で3回唱えます。
これは「何時に起きる」と言語化されるとその時間帯に分泌のピークが合いやすくなるというコルチゾールの性質を利用したものです。
ポイント
寝る間に起床時間を3回唱える
菅原洋平(2020)『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』CCCメディアハウス P109
深部体温を下げ、睡眠の質を向上させる
睡眠の質を向上させる方法は色々ありますが、今回は深部体温を下げることについてご紹介します。
「深部体温」とは、内蔵の温度のことです。深部体温は一日を通して上昇したり低下したりするリズムがあります。
起床から11時間後に深部体温は最高になり、起床から22時間後に最低になります。6時起床の生活の場合、夕方の17時が最高体温で最もパフォーマンスが高く、朝方の4時が最もパフォーマンスが低く起きていられない時間帯です。
菅原洋平(2020)『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』CCCメディアハウス P112
深部体温が低下することは、生物としての活動が低下することに当たります。深部体温をうまく低下させることができれば、質の良い睡眠をとることができます。
下記ではその方法をご紹介します。
眠る1時間前に入浴する
入浴することで深部体温は高くなります。
汗をかくことで放熱し深部体温を下げようと調整機能が働きますが、入浴直後はこの調整が間に合っていません。この状態で寝ようとすると寝付きは悪くなってしまいます。
深部体温が下がる1時間後に就寝すれば深い睡眠を取ることができます。
足首を温める
足首には、脛骨(けいこつ)動脈という太い血管があり、この場所を温めると血液の温度が上がります。
血液の温度が上がると足の裏から熱を逃し、血液の温度を下げるよう働きます。温度が下がった血液が内蔵を巡ることで、深部体温を下げることができます。
耳から上の頭を冷やす
就る前に保冷剤や冷凍したタオルを利用して、耳から上の頭を冷やしてみましょう。
大脳の周囲の血管が冷やされることで大脳の温度が下がり、活動が低下して、速やかに入眠しやすくなります。
寝る前にスマホやパソコンを見ると、大脳の温度は上がってしまいます。そうした場合も頭を冷やし大脳の温度を下げることで温度の帳尻合わせをしましょう。
菅原洋平(2020)『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』CCCメディアハウス P115.116
一週間のリズムを変える
社会生活とは無関係の生活をしている人の血圧を、24時間血圧計で測り続けた研究によると、月曜日の朝は決まって血圧が高まる様子が観察されています。
また、心筋梗塞や脳卒中の発症は、月曜日の朝に集中しています。
このことより、月曜日の朝には脳と体に負担がかかっていることがわかります。
例えば、金曜日にやり残した仕事を月曜日に回したりすると、ただでさえ負担が大きい月曜日にさらに負担がかかってしまいます。
これを避けるためには、1週間の始まりを金曜日と思うことです。
金曜日の夕方には翌週月曜日からの仕事に少し手をつけることで、1周間の見通しを立ててから休日に入れるかもしれません。
ポイント
一週間の始まりを金曜日にする
菅原洋平(2020)『脳をスイッチ! 時間を思い通りにコントロールする技術』CCCメディアハウス P145.146
まとめ
私達が普段何気なく行っている生活習慣にも、時間は大きく関係しています。
生活習慣を操ることができれば、時間管理能力の向上に繋がるでしょう。
今回の参考著書
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