3回にわたりミスのメカニズムについてまとめてきましたが、今回が最終回になります。
前回は「コミュニケーションミス」についてご紹介しました。
今回は、④ジャッジメントミスについて原因と対策をご紹介します。
ジャッジメントミスとは
- 自己判断によるミス
- 思い込みによるミス
- 情報・経験不足によるミス等々
上記のようなミスが起こる原因と対策についてご紹介します。
2種類の思考回路について
脳には2種類の思考回路が存在します。
1つ目は「早い思考」、
2つ目は「遅い思考」です。
「早い思考とは」
瞬間的に行われる思考のこと(意識的な努力は不要、もしくはほとんどいらない)
(例)地震を感じたら、瞬時に身の安全を守る行動をする
初対面の人に対して「信頼できそう」といった判断をする
「遅い思考とは」
じっくりと判断を下す思考のこと(意識的かつ論理的ん判断を下すときに使われる)
(例)「19×37」といった計算問題
「あんな判断しなければよかった」と後悔する時は、たいてい「速い思考」を使って判断した時です。
例えば、テレビ番組でラーメンが特集されているのを見て、とにかくラーメンが食べたくなり、ダイエット中にも関わらずランチをラーメンに決めたりすることは「速い思考」の判断です。
ランチにラーメンを食べたいけれど、体のことを考えて、ラーメンを食べるのはやめて野菜をとろうと考えたりするのは「遅い思考」の働きです。
まずは、自分が普段下している判断の大半は「速い思考」に任せっきりであることを自覚することが重要です。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P186-190
感情が「速い思考」を暴走させる
恐怖や不安を始め、感情が大きくなればなるほど、そこに注意が向いてしまってワーキングメモリに余裕がなくなり、結果的に「速い思考」だけが突っ走りがちになります。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P207
いわゆる「感情的になる」状態で「速い思考」が暴走しがちです。
(ワーキングメモリについてはこちら↓↓)
ただ、感情的になるのは脳の仕組み上、仕方のないことです。下記では、感情とうまく付き合うポイントもご紹介します。
ジャッジメントミス対策
感情を受け止め、意識の矢印に注意を向ける
何か仕事でトラブルがあった時、冷静さを保つことができますか。
感情に動かされる人が多いかと思いますが、中には、取り乱すことなく淡々と仕事をこなす人もいます。
そういった感情に振り回されない人は、過去に同じようなことを経験しており「遅い思考」で考えられるようになったことが考えられます。
経験がなくても冷静でいるためには、感情的な反応が出たことを素直に受け止め、意識の矢印を相手に向けることが大切です。
(「意識の矢印」についてはこちら↓↓)
例えば、部下のある言葉にカッとなったとします。
そこで怒りをそのまま部下にぶつけてしまうと、後で少し言い過ぎたかなと後悔するかもしれません。
まずは、自分自身の怒りの感情を素直に受け止め、徐々に意識の矢印を相手に向けましょう。
「なぜ部下はこんな発言をしたのだろう」と考えることで冷静さを取り戻し、「遅い思考」を働かせる余裕ができます。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P209.210
ポイント①
意識の矢印を相手に向け、
冷静さを取り戻す
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P208-210
言葉が「速い思考」を加速させる
欲しい最新家電があり、お店に行ったとします。店員さんからは「本当は10万円なのですが、特別に5万円でいかがでしょう」と言われました。
半額ですから、思わず「速い思考」から「買いたい!」と思ってしまうかもしれません。
このように交渉ごとなどで判断の基準を自分に有利に進めるために打つクサビのことを「アンカー」といいます。船のイカリのことです。そしてアンカーが判断結果に影響を及ぼすことを「アンカリング効果」と言います。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P192
でも実際には10万円という基準があるから安いと感じるのであって、「5万円です」と初めから言われたらどうでしょう。
このように言葉によって「速い思考」が加速してしまうことがあることも理解しましょう。
ポイント②
アンカーに要注意
ジャッジメントミスを認める
かの『論語』には、過ちについてこんな言葉が書かれています。
「過ちを犯しながら、改めないのが過ちである」
「過ち」を「ジャッジメントミス」に置き換えてみます。
「ジャッジメントミスを犯しながら、改めないのがジャッジメントミスである」
ミスを自覚し、認め、改めていくことで、ミスが減ることに繋がります。
ポイント③
ジャッジメントミスを認め、
ジャッジメントミスを減らしていく
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P220.221
まとめ
4回にわたりミスが起こる原因や対策についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
まずは私達の脳はミスを起こしやすいということを認めることが大切です。
脳のメカニズム上、ミスがなくせないものであるならば、どうしていくべきなのか。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考著書『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』
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