前回の記事で、メモリーミスによって引き起こされる忘れっぽさについて取り上げ、対処法をご紹介しました。
今回は、ミスが起こるメカニズム③コミュニケーションミスの原因と対策についてご紹介します。
コミュニケーションミスとは
例えば、
- 理解していたつもりなのに勘違いしていた
- こちらの思いが伝わらない
- 相手の気分を害してしまった等々
下記ではこのようなことが起こる原因と対策についてご紹介します。
情報省略について
私達は会話をする時、多くを省略しています。
例えば、話し手が「昨日、渋谷で友人とお酒を飲んだ」と言ったとしましょう。
昨日のいつなのか、渋谷のどこなのか、お店なのか自宅なのか、あらゆる言葉が省略されていますが、聞き手は気にせず聞くことができます。(「ここが省略されているな」ということは認識していません)
なぜそのようなことが可能なのかというと、話し手の言葉に、聞き手の持っている記憶が反応して、省略された部分を自動的に補完しているからです。
話し手は居酒屋で飲んだことを思い出して話しているかもしれませんが、
聞き手は自身の記憶からバーで飲んだことを想像しているかもしれません。
このように表面上、会話は成立しているかもしれませんが、話し手と聞き手の間で思い浮かべるイメージのギャップは想像以上に大きく、自覚していないことがほとんどです。これがコミュニケーションミスの最大の原因です。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P130-132
コミュニケーションミスの対策
言葉を具体化する
例えば、上司と部下の間で下記のような会話があったとします。
上司
「この間頼んだあれ今日早めにもらえそう?」
部下
「(あれね。)はい、大丈夫です。」
これでは当然コミュニケーションミスが発生します。
この間とはいつなのか、あれとは何なのか、早めとはいつまでなのか。
【上司側の改善点】「あれ」や「早め」を具体的な言葉で示すこと
頼んだ側から具体的な時間を決めてしまうのは躊躇するかもしれませんが、コミュニケーションミスにより時間をとられる可能性があるため、希望をはっきりと明示することが重要です。
【部下の改善点】「あれ」と「早め」が2人の間で認識のズレがないかを確認すること
「あれ」を確認するために「〇〇ですね」と言葉に出したり、
「早め」については「いつまでですか?」と相手の基準を聞くか、「明日の10時まででもいいですか」と自分の基準を相手に確認するかどちらかが必要です。
ポイント①
勘違いしようのないレベルまで具体化する
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P142.143
「意識の矢印」に注意する
冒頭の「渋谷で友人とお酒を飲んだ」ことを例として説明します。
話し手は「居酒屋」で飲んだことを話していましたが、聞き手は「バー」で飲んだことを思い浮かべていました。
なぜこのようなことが起こったかというと、聞き手の意識が自分に向いていたからです。
もし聞き手の意識が相手に向いていれば、たくさんの不明点が出てきますから、相手に自然と質問が出るようになります。
自分の記憶と相手の記憶は違うことを理解し、相手が発した言葉の奥にあるその人の記憶に意識を向けることが重要です。
ポイント②
「意識の矢印」を相手の記憶に向ける
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P144.145
「意識の矢印」を相手に向けるコツ
「意識の矢印」を意識することは初めのうちは難しいかもしれません。
コツが一つあります。
「相手のことを知らない」と思うことです。
例えば、いつもイライラしている上司がいるとします。
こんな風に思うと面白いかもしれません。
「何でいつもイライラしているのだろう?」
「どんな環境で育ったのだろう?」
「何か好きなことはあるのかな?」等々
そう思うと相手について知らないことばかりだと気付きます。
所詮他人ですから、知らなくて当たり前です。
でも、今までは「いつもイライラしている人」と思っていたのが、知らない前提で考えると、違った見方をすることができます。
これが相手に意識の矢印を向けるということです。
ポイント③
相手に対して無知の姿勢になる
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P156
まとめ
コミュニケーションミスは、「意識の矢印」が相手に向いていないことによって起こることが多いです。
「意識の矢印」を相手に向けることが、円滑なコミュニケーションに繋がるでしょう。
「意識の矢印」はいろんな場面で応用できます。
コミュニケーションは相手がいて成り立つものです。まずは相手のことを大切にし過ごしていきましょう。
今回の参考著書『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』
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