前回の記事でミスが起こるメカニズムと、ボールパス動画を元にアテンションミスについてご紹介しました。
今回はミスが起こるメカニズム①メモリーミスの原因と対策についてご紹介します。
人の記憶について
メモリーミスについて
メモリーミスとは、「あ、忘れてた!」というように「記憶」に関係していることが特徴的です。
例えば、
- 「何をしに来たんだっけ?」
- 「あの書類どこにやったんだっけ」
- 「上司に頼まれたこと忘れてた!」等々
一度は覚えたはずなのに、すぐに忘れてしまったりします。
こちらの動画の冒頭部で説明がありますが、「全く意味のないアルファベットの組合わせ」を覚えさせ、どれだけ覚えているかをグラフにした「忘却曲線」というものがあります。
それによると、覚えた20分後には42%を忘れ、1時間後には56%、1日後には74%を忘れるという結果になっています。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P17.18
人間は思っている以上に急速に物事を忘れてしまうのです。
ワーキングメモリーとは
このように急速に物事を忘れてしまう原因は「ワーキングメモリー」にあるといわれています。
ワーキングメモリーは、「脳のメモ帳」にたとえられ、「作動記憶」「作業記憶」などと訳されます。情報を長期間にわたって貯蔵する「長期記憶」とは異なり、何かの目的のために「一時的に」貯蔵される領域であることが特徴です。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P19
便利なワーキングメモリーですが、その容量は思いのほか小さく、新しい情報が入ってくると、古い情報がはじき出されてその瞬間に忘れてしまいます。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P20
2階から1階に降りてきて何をしに来たか忘れてしまうという例でいくと、
2階から1階に降りるまでの間や、1階のリビングで新たな情報をインプットし、「取りに来たかったもの」が頭から抜けてしまったことを表します。
ワーキングメモリーが貯蔵できる事象は、せいぜい7つ前後(7±2)と言われています。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P22
頭の中にお皿が5枚~9枚ある状態をイメージするといいかもしれません。
お皿に乗り切らなくなったものは忘れてしまうという考え方です。
下記では、ワーキングメモリーの容量は小さく、すぐに忘れるものだということを念頭に、対策を考えていきます。
メモリーミスの対策について
メモや外部記憶補助に頼る
まずは、王道の「メモ」です。ワーキングメモリーの容量は限られていますので、メモを記憶代わりにするということです。
ワーキングメモリー内の記憶をメモに出力すれば、その分、ワーキングメモリー内に空きスペースができ、効率的に仕事を進められることも考えられます。
次に「外部記憶補助」です。外部記憶補助とは、記憶を思い出すきっかけを与えてくれるようなものです。
宇都出雅巳(2017)『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』株式会社クロスメディア・パブリッシング P43
例えば、朝一でやらなければいけない仕事があるならば、前日に書類をパソコンの上に置いておくことで、思い出すことができます。
他にも、翌日の天気が雨だと分かれば、寝る前に傘を玄関のドアノブにかけておき、忘れないようにしたりすることがそれにあたります。
ポイント①
メモだけでなく
「外部記憶補助」を使う
もの探しをなくす
次に「あの書類どこに置いたっけ」というような場合です。
こちらの記事でご紹介させていただきましたが、
「もの探し」をなくすには、定位置を決めることや、本当に大切なものは常に身につけることが対策になります。
職場で書類を探さないようにするためには、書類を置く場所を決め、ルールを作ることが大切です。
【例】
- 未完了の書類を一時的に置くスペースを作る
- 進行中の書類を一時的に置くスペースを作る
- 完了済の書類を綴るファイルを作り、そのファイルの定位置を決める
- 書類の処理が終わったら、必ず指定のファイルに綴じ、ファイルをしまう
(文字にすると簡単なことですが、私はこれができておらず、働いていた時苦労しました)
ポイント②
まずは定位置を決める
疲れていないか
最後に「何しに来たんだっけ」というような場合についてです。
これについては、その時の外部からの刺激にワーキングメモリーが占領されていることも考えられますが、脳疲労も考えられます。
常日頃いろんなことを考えすぎて、脳がいっぱいいっぱいになっているのかもしれません。いわばキャパを超えている状態です。
一度頭の中を空にするのもいいかもしれません。
ポイント③
一度脳を休ませよう
まとめ
今回はワーキングメモリによるミスと対策について紹介しました。
ワーキングメモリは便利ではありますが、思っている以上に容量は小さく頼りにならないものです。
そのことを念頭に置き、ワーキングメモリーを助けてあげようという気持ちでいると対策ができるかもしれません。
毎日働き続けてくれる脳もきっと疲れています。休日にたまには何もしない日を作るのもいいかもしれません。
脳を労りつつ、気持ちよく過ごしていきましょう。
今回の著書『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』
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